カイリーの超越性もしくは流動性
(2)に続く前にカイリーがあらゆる層から圧倒的な支持を受けている理由について考えてみたいと思います。
いきなりカイリーづくしで熱狂的ファンのよう(笑)ですが、非常に興味深い存在だと思うのでテーマにしてみました。
カイリーの成功の理由として姉であるキムたちの成功や母親の手腕、本人の巧みなSNS戦略などは語りつくされていると思いますが、個人的には、もっと分かりやすい理由があるような気がします。
ここで麗しいカイリーのお姿を見てみましょう。
It’s #NationalBossDay and we’re celebrating the best boss bae @kyliejenner 👑💗 Today only, get 40% off Kris collection, Kylie and Boss lip kits ✨ Ends 11:59pm pst. https://t.co/rkT2b8JJL5 pic.twitter.com/Yr0aoTWJVt
— KYLIE COSMETICS (@kyliecosmetics) 2019年10月16日
どうでしょうか。
カイリーって、人種も、なんなら性別も超越しているように見える!
(注:完全なる主観です)
カイリーのエスニシティを調べると、イギリス・スコットランド・アイルランド・オランダ・ドイツ・ウェールズとあります。いわゆる白人ですね。
カイリーの人種問題といえば、投稿写真が黒人なりきりと批判され炎上した*1こともありました。頻繁にイメチェンするとはいえ、彼女のシグネチャールックともいえる黒髪、ブラウンの瞳、日焼け肌にグラマラスなメイクは一見するとどの人種でもないような、どの人種でもあるような印象を与えます。コスメ業界でもInclusive(包括的)であることが必須となった今、各ブランドはさまざまな肌色や髪色や体格のモデルを起用していますが、筆頭の広告塔であるカイリー本人が特定の人種という印象を強く与えないのは大きな強みなのではないでしょうか。
姉妹のセット売りではなく、カイリーの個人の魅力がフィーチャーされ始めたころ、インスタグラムをはじめとするSNSではカイリーそっくりなメイク*2をした様々な人種の女性をあちこちで目にしました。アジア人も、白人も、黒人も、ラティーノも、アラブ系もです。みんな驚くほどの完成度で舌を巻きました*3。カイリーは美しいですが、あらゆる女性が同じようなメイクをすればカイリーになれる!と親近感を感じたことは後のビジネス展開の成功につながった理由のひとつだと思います。
またこれはカイリーだけではなく姉妹全員に共通しますが、過剰ともいえるほど女性性を強調したルックスはドラァグクイーンに通ずる何かを感じさせます。強烈に女性美を見せながら、そこには男性性も存在しているのです。今は男性でもメイクをする時代ですし、ジェンダーニュートラルという考え方が広まっています。意図しているかは分かりませんが、カイリーはここでも誰も排除しない、Inclusiveという印象を与えていると思います。
思ったことについてざっくりと綴ってみましたが、やっぱりカイリーがビジネス帝国を築き上げ、時代の寵児となったのは、本人の全方面に向けた強いアピール力とブランド力なのでしょうか。興味深い存在なので、これからも注視&リサーチを続けていきたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。
みなさんの1日が明るく美しいものとなりますように!
*1:2015年に肌色を暗くしたように見える自身の写真をインスタグラムに投稿し、黒人以外が黒人の振りをするために肌を黒塗りする「ブラックフェイス」ではないかとして炎上した件。個人的な印象ではメタリックでフューチャリスティックなイメージで、ブラックフェイスに該当するとは感じませんでした。もちろん様々な見方があります。
*2:ジェルやペンシルなどを駆使して仕上げた一糸乱れぬパーフェクトな「インスタ眉毛」や、コントゥアーでこれでもかと強調した頬骨と輪郭、ふっくらリップを際立てるマットリップなど。私もアイテムを買いあさりました。
*3:みんな同じに見える、没個性的、などの声もよく聞きましたが、それは今回に限らずトレンドのひとつの側面だと思います。